能面制作は型紙を使った写し技法
- 福男 谷
- 2019年11月12日
- 読了時間: 2分
写そうとする面の形を紙にかたどり、それを素材にあてがって制作する「写し」技法は、桃山時代末期の頃から用いられたと伝えられています。(野村鶯)
以下のように、幾つもの工程を一人でします。
1 型紙切り:美濃紙で手本とする面の型紙の写しを切り出す。
2 型紙の種類は面全体を真正面から見た面型、真横から見た縦型、面を横に額、目、鼻、鼻下、上下唇、顎などの横型などがある。
3 木取り:面型で輪郭を切り出し、額、目、鼻下、口、顎の凹んだ部分にノコで切り込みを入れる。
4 荒どり:縦型で頭頂と顎に合うまで削り、額、目、鼻、鼻下、上下唇、顎などの横型に合うよう削る。
5 仕上げ:目、鼻、口、歯の寸法をとり、それぞれの型紙に合うように削る。
6 裏面を彫り、目、鼻、口、紐穴を面裏を見ながら開ける。
7 ヤニ抜き:面をアルコールに一昼夜つけた後、煮沸する。
8 裏面の漆塗り:人工漆のポリサイトを塗って、ふき取る。
9 下塗り:にかわで溶いた胡粉を塗り、表面を滑らかにする。
10 上塗り:同じく顔料を加えた細かい胡粉を塗る。
11 彩色:混ぜた顔料を含ませたタンポ(スポンジを羽二重に包んだ)を打つ
12 目、歯、鼻の穴、髪に墨、唇に朱を入れ、古色(ススと青墨を水で溶く)をつける
13 耳穴部分を水で濡らし竹べらで余分な胡粉をそぎ落とす。髪の部分を水で濡らし竹べらで全体にキズをつける。
14 乾いた布でこすると艶が出てくる。
彫り半分、彩色半分の長い工程を経て、完成です。

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