小面の雪、月、花はそれぞれ鼻筋が違う
- 福男 谷
- 2019年8月29日
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更新日:2022年3月7日
雪は、鼻筋が中心線から1㎜ほど左にずれた場所から右下に向かって伸びており、鼻先を右に振っている。右から見ると鼻筋が際立ち表情に強さが生まれる。左から見ると鼻筋がなだらかに表情は心なしか穏やかに見える。
鼻先を左に振った方が観客に感動を与えるが、雪は右に振っており一段上の演技が必要なむずかしい面とされる。
月は、左に鼻先を振っている。右側から見ると心なしか穏やかに見え、左から見ると表情に強さがでる。
客席からは面の左側が最も良く鑑賞できる。
右側に比較的おおらかな表情を持たせるのは、演者が橋掛かりを引いていく時、僧のねんごろな回向を受け、恨みや悲しみから解き放たれ悟りの心を表現するためで、彩色も少し赤みがかっている。
花は、鼻は左右どちらにもふらずに、真っすぐである。
一般的に面は目、鼻、口が中心に寄るほど強く感じるが、花はそれらが、中心から4㎜ほど開いているのでおおらかなやさしい表情を持った面になる。
シテに月か雪を掛けた場合、ツレには花が用いられる。

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